白砂糖も黒砂糖も健康リスクがあり、
摂取は控えめに。
甘い味は人間の本能的な好みであり、料理や菓子作りに欠かせない砂糖。しかし、現代の精製された砂糖が私たちの健康にどのような影響を与えているかご存知でしょうか?実は白砂糖だけでなく、一見健康に良さそうな黒砂糖にも注意すべき点があります。この記事では、甘味料の選び方と砂糖の真実について掘り下げていきます。
白糖も黒糖も要注意
白砂糖は精製過程で苛性ソーダや硫酸などの化学薬品を使用してミネラルをほぼ完全に取り除いた超酸性の食品です。研究によれば、精製糖の過剰摂取は様々な健康問題と関連があるとされています。
虫歯や歯周病、骨粗鬆症はよく知られていますが、うつ病や統合失調症などの精神疾患との関連も指摘されています。国立精神・神経医療センターの研究では、特に思春期の子どもたちの砂糖摂取量が多いと精神疾患のリスクが高まることが報告されています。
また、砂糖の過剰摂取は腸内細菌のバランスを崩し、悪玉菌の温床となることで、アトピー性皮膚炎などのアレルギーや糖尿病、高血圧などの生活習慣病のリスクを高める可能性があります。さらに、免疫系が関与しているがんや認知症との関連も指摘されています。
「精製前の黒砂糖であればよいのか?」という疑問も生じますが、これも注意が必要です。サトウキビに農薬が使用されている場合、精製が進んでいない黒砂糖の段階ではミネラルも豊富ですが、同時に農薬の影響も大きくなる可能性があります。
本物の純黒糖は、サトウキビの搾り汁に石灰を混ぜて煮つめただけのもので非常に希少です。市場に出回っている多くの「黒砂糖」は、外国から安く輸入されるザラメや水飴などで増量し、カラメル色素(発がん性が指摘されています)で黒く見せかけているものが少なくありません。
本物の黒糖は「真っ黒」ではなく、「淡い緑黄色」や「淡い茶褐色」など多様な色調をしています。砂糖はなるべく摂取を控え、どうしても甘味が必要な場合は、100%純黒糖や三河みりんなどの発酵調味料を活用するのが良いでしょう。
砂糖と漢方医学
漢方では甘味は「甘」として五味の一つに数えられ、「脾胃」を養う性質があるとされます。しかし、現代の精製砂糖は漢方医学的には「熱邪」を生じやすく、逆に脾胃を損なうと考えられています。
漢方理論では、過剰な甘味は「湿」と「痰」を生み出し、これが様々な不調の原因になると説明されています。特に白砂糖は「熱毒」を生じやすく、現代医学で言う炎症反応を引き起こす可能性があるとされ、これは精神疾患や免疫系の問題との関連性を示す現代の研究結果とも一致します。
黒砂糖については漢方では「温性」で、適量であれば「気血」を補う効果があるとされますが、現代の農薬問題や偽物の問題は漢方でも想定していない新たな課題です。代わりに漢方では蜂蜜や麦芽糖などの自然な甘味料を適量用い、脾胃を補いつつも体のバランスを崩さない「中庸」の考え方を重視します。
三河みりんは漢方的には発酵食品として「気」を巡らせ、「脾胃」を温める効果があるため、砂糖の代替品として優れた選択肢と言えるでしょう。漢方の「薬食同源」の考え方からも、日常的に摂取する甘味料の質は健康に大きく影響します。
砂糖の摂取は控え、必要なら純黒糖か三河みりんを活用しましょう。
白砂糖も黒砂糖も過信は禁物です。市販品には偽物も多いため、色や製法をよく確認して選びましょう。漢方医学の観点からも、甘味の取り過ぎは体のバランスを崩す原因となりますので、質と量の両面に注意が必要です。
- 参考文献「食がもたらす病」ルネサンス vol.13 ダイレクト出版

【食養生シリーズ】第2回 砂糖
