【食養生シリーズ】第5回 食用油

農薬は油に溶けやすく、無農薬原料の圧搾法またはコールドプレス油を選ぶべきです。

毎日の料理に使う食用油。その選び方が健康に大きく影響することをご存知ですか?市販の油に潜む問題と良質な油の選び方をご紹介します。

良質な油は高価

食用油で最も問題なのはポストハーベスト農薬です。農薬は油に溶けやすいため、食用油こそ農薬のかたまりといえます。遺伝子組み換え作物として流通している輸入の大豆、トウモロコシ、菜種、綿はいずれも油の原料です。これらをブレンドしている市販の油はすべて避けるべきでしょう。

さらに、より多くの油を得るためにn-ヘキサン(ノルマルヘキサン)という有機溶剤が使われています。n-ヘキサンは発がん性が懸念される有害物質です。このn-ヘキサンで抽出された油は、品質を保持・均一化するために、精製、漂白、脱臭といった処理が施され、その過程でトランス脂肪酸が生じます。トランス脂肪酸は生活習慣病、がん、精神疾患などの原因であるといわれています。欧米をはじめ多くの国で使用を禁止・規制されている油ですが、日本では規制されていません。

日本はアメリカ、イタリア、ブラジルに次ぐオリーブオイル大国で、良質なオイルといえばエキストラバージンだという認識の日本人が多いですが、私たちが本物のエキストラバージンを入手できる可能性は極めて低いのです。イタリアから輸入された高価なオリーブオイルでさえ、n-ヘキサン抽出、脱溶剤、脱酸性化、脱臭されたものがほとんどです。ひどいものはエキストラバージンが少量含まれているだけで、安価で粗悪な植物油を混ぜたものが「エキストラバージンオリーブオイル」として販売されています。

食用油と漢方医学

漢方医学では油脂類は「熱性」で「湿」を生じやすい食材とされています。しかし良質な油は「潤燥」といって体の乾燥を潤し、特に冷圧搾法の油は「清熱」の作用もあると考えられています。

漢方では体質に合わせた油の選択が重要視されています。例えば「熱証」(体に余分な熱がある状態)の人は「涼性」のオリーブオイルが適しており、「寒証」(体が冷えている状態)の人は「温性」のごま油やえごま油がより適しているとされます。

化学処理された油は漢方的には「熱毒」を生じやすく、「気滞」(気の流れが滞った状態)や「血瘀」(血の巡りが悪い状態)を引き起こすと考えられています。これは現代医学でいう炎症反応や血液循環の問題に相当し、様々な不調の原因になるという考え方は、現代の加工油脂に対する警鐘とも一致します。

漢方では油の質と量の両方に注意を払い、特に「脾胃」(消化器系)の弱い人は油の摂りすぎに注意すべきとされています。「薬食同源」の考え方からも、毎日摂取する油の質は健康に大きく影響するとされ、伝統的な製法で作られた良質な油を少量使用することが推奨されています。

無農薬原料の圧搾法またはコールドプレス抽出の油を選びましょう。

これらの方法で作られた油は化学溶剤を使わないため、体への負担が少なく、本来の栄養価も保たれています。価格は高くなりますが、健康を考えれば価値ある選択です。漢方医学の観点からも、自然な製法で作られた油は体内の「気血」のバランスを整える助けとなります。

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