【食養生シリーズ】第7回 小麦

米粉への置き換えが最も簡単な対策です。

パン、パスタ、うどん、ケーキなど、日常的に食べている小麦製品。しかし小麦には健康に影響を与える可能性のある問題点があります。小麦の抱える課題と代替策について知っておきましょう。

小麦製品は可能な限り米粉に置き換えましょう。

小麦には主に2つの問題があります。1つ目は農薬、特に収穫後農薬(ポストハーベスト農薬)の問題です。輸送中の虫やカビを防ぐために、小麦に直接農薬が散布されます。輸入小麦の場合、サイロ、倉庫、船内など各段階で5~6回も直接噴霧されるため、毒性が強くなっています。日本では国産農作物へのポストハーベスト農薬使用は禁止されていますが、輸入農作物には認められています。

2つ目は小麦のグルテンによる健康被害です。1940年代以降、アメリカで収穫量向上のための品種改良が進み、人為的な交配の繰り返しにより遺伝子構造も変異しました。特にグルテンの変異が著しく、消化しにくいタンパク質に変質してしまいました。欧米ではグルテンに異常な免疫反応が出る「セリアック病」やグルテン過敏症の増加が問題となっており、改良品種の小麦がその原因と考えられています。現在、世界で栽培されている小麦のほとんどが改良品種です。

小麦の代替策

グルテンは避けるに越したことはありません。実際、グルテンフリー食が多くの生活習慣病の改善に有効であることが証明されています。

対策としては、グルテン含有量が少ない古代小麦を選ぶという方法もありますが、市販品はほとんど入手困難です。最も簡単な対策は、小麦を米粉に置き換えることです。パンをはじめとする小麦製品はすべて米粉で代替可能です。

また、伝統製法で熟成した手延べ素麺はグルテンが分離しやすくなっているため、問題が少ないとされています。これは日本人の知恵といえるでしょう。

小麦と漢方医学

小麦は漢方では「涼性」で「心肝」を鎮め、「熱」を冷ます作用があるとされています。古来より漢方医学では小麦は「除熱」「養心」「安神」の効能があると考えられてきました。

しかし現代の改良小麦は漢方的に見ても「気滞」(気の流れが滞った状態)を引き起こしやすく、特に「脾胃」(消化器系)の弱い人には負担となります。漢方医学では「脾胃」は消化吸収だけでなく免疫機能とも深く関わっているとされており、これが現代のグルテン過敏症などの問題とも関連していると考えられます。

漢方では「食養生」の考え方があり、体質に合った食べ物を選ぶことを重視します。日本人の体質には元来「米」が合っているとされ、特に「脾胃虚弱」(消化器系が弱い)の人には米が適しているとされてきました。小麦粉製品の過剰摂取は漢方的に見ると「湿熱」や「痰湿」を生じやすく、これらは様々な健康問題の原因になると考えられています。

伝統的な製法で熟成させた手延べ素麺が比較的安全とされる理由も、漢方的には製法によって小麦の「性質」が変化し、「気滞」を引き起こしにくくなるためと説明されています。

小麦製品は可能な限り米粉に置き換えましょう。

小麦の農薬問題とグルテンの問題を避けるため、日本人の主食である米を活用した米粉製品への切り替えが最も現実的な対策です。伝統的な製法の日本食も見直してみましょう。漢方医学の観点からも、日本人の体質には米が適しており、体質改善のためには小麦から米への転換が効果的とされています。

Share the Post: