国産無農薬大豆と天然にがりで作られた本物の豆腐は味も食感も格段に優れています。
日本の食文化に欠かせない豆腐。健康食品として人気がありますが、市販の豆腐には意外な問題が潜んでいます。本物の豆腐と偽物の違い、選ぶ際のポイントについてご紹介します。
豆腐の原料と製法の問題
市販の豆腐の多くは輸入大豆を原料としており、ポストハーベスト農薬や遺伝子組み換えの問題があります。「国産大豆使用」と表示されていても、実際には国産大豆が50%程度しか使われていない製品もあるため注意が必要です。
日本では製塩法がイオン交換法に変わったことで、本物のにがりが入手しにくくなり、代わりにGDL(グルコノデルタラクトン)や硫酸カルシウム(石膏)といった凝固剤が多用されています。GDLには催奇形性が確認されており、石膏は本来ギプスや彫刻の材料であって食品ではありません。特に安価な豆腐や薄い豆乳で作られる充填豆腐には、これらの凝固剤が不可欠となっています。
また製造過程では、おからと豆乳を分離する際に出る泡を消すために、合成界面活性剤やシリコン化合物などの化学薬品を含む消泡剤が使用されていることがあります。本物のにがりを使い、消泡剤に頼らずに豆腐を作ることができる職人は現在激減しています。
木綿豆腐については、こし布の洗浄に使われる合成洗剤由来の蛍光漂白剤が残留している場合があります。この物質は発がん性が確認されており、食品衛生法では布巾や紙皿等の食器に、日本薬局方ではガーゼや脱脂綿に、通産省通達ではベビー用品への使用が禁止されています。人が口にしたり傷口に触れたりすることは問題であり、市販の豆腐の中には食品衛生法違反の状態のものが存在しています。
豆腐と漢方医学
豆腐は漢方医学では「涼性」で「痰湿」を取り除き、「熱毒」を解消する食材とされています。良質な大豆そのものと「にがり」で作られた豆腐は「気血」を補い、特に女性の「血虚」(血が不足した状態)や更年期障害に有効とされてきました。
漢方理論では、大豆製品は「補脾益気」(脾を補い気を増やす)、「養心安神」(心を養い神を安んじる)、「清熱解毒」(熱を取り毒を解消する)などの効能があるとされています。特に豆腐は「陰」を補う食材とされ、体内の余分な「熱」を冷まし、バランスを整える働きがあります。
しかし、添加物の多い豆腐は漢方的にみると「正気」を損ない「邪気」を招くとされており、本物の豆腐を選ぶことは漢方的健康観と一致します。にがりを使った自然な凝固過程は「気」の流れを保ち、化学凝固剤を使った豆腐は「気滞」(気の流れが滞った状態)を引き起こす可能性があるとされています。
また、豆腐は「陰」の食材で体を冷やす性質があるため、「陽」の食材(例えば生姜や葱)と組み合わせて調理することで、体質に合わせたバランスの良い食事となります。特に「寒証」(体が冷えている状態)の人は、温かく調理した豆腐を食べることが推奨されています。
国産無農薬大豆と天然にがりで作った豆腐を選びましょう。
凝固剤・消泡剤不使用で、にがりを使った本物の豆腐は、大豆のうま味が濃厚でしっかりとした食感があります。市販の水っぽい味のしない豆腐とは雲泥の差です。日本の食文化を守るためにも、ホンモノの豆腐を味わう価値があります。漢方医学的にも、良質な豆腐は体内バランスを整え、健康維持に役立つ優れた食材です。
- 参考文献「食がもたらす病」ルネサンス vol.13 ダイレクト出版

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