【食養生シリーズ】第3回 醤油

丸大豆の長期熟成醤油は風味豊かで、添加物頼りの「醤油風調味料」とは別物。

日本の食卓に欠かせない醤油は、和食の味の要とも言える大切な調味料です。しかし、スーパーに並ぶ多くの醤油には、実は知っておくべき問題が隠れています。原料や製法の違いが、味だけでなく健康にも大きく影響することをご存知でしょうか?今回は、安全でおいしい醤油の選び方について考えていきます。

原料と発酵期間がカギ

醤油の原料となる大豆には「脱脂加工大豆」と「丸大豆」の2種類があります。脱脂加工大豆は、ノルマルヘキサンという有機溶剤で油を抽出した後の搾りカスです。この有機溶剤には残留毒性の問題があり、また、うま味成分が減少しているため、化学調味料や甘味料、保存料、酸味料などの添加物で補われていることが少なくありません。

脱脂加工大豆を使った醤油は長期発酵に耐えられないため、わずか3ヶ月程度の短期醸造で製造され、カラメル色素で色調を調整していることもあります。大手メーカーの多くが製造する「新式醸造醤油」や「醤油風味調味料」は、このような方法で作られています。薄口醤油も、最初から専用に仕込むのではなく、濃口醤油を出汁や塩水で薄めただけの製品が多いのが現状です。こうした製品は腐りやすいため、安息香酸などの防腐剤が使用されていることもあります。

「丸大豆」と明記されている製品でも、原料の大豆や小麦に農薬や遺伝子組み換え作物が使われていることがあります。国産大豆にも収穫前に除草剤が使用されることがあり、グリホサートなどの成分が検出されることもあります。

安全性と風味を考えるなら、伝統的な手法で最低でも2~3年かけて発酵・熟成させた、有機・無農薬大豆を使用した醤油を選ぶと良いでしょう。このような本物の醤油は香り高く、少量でも豊かな風味が楽しめます。一方、添加物頼りの醤油風調味料では色と塩味がつく程度で、本来の香りが乏しく、使用量も多くなるため結果的に割高になりがちです。

醤油と漢方医学

醤油は漢方医学では「温性」で、「脾胃」を温め消化機能を高める効果があるとされています。長期発酵させた本物の醤油には「発酵の気」が宿り、気血の巡りを促進する働きがあります。これは漢方でいう「行気」作用に相当し、体内のエネルギーの流れを良くすると考えられています。

また、醤油に含まれる大豆由来のアミノ酸は漢方でいう「陰」を補う効果があります。「陰虚」(体の潤いやエネルギー源が不足した状態)の改善に役立つとされ、特に冬季の「温補」(体を温めながら栄養を補う)には欠かせない調味料です。

一方、添加物の多い短期醸造の醤油は漢方的にみると「熱毒」を生み出す可能性があります。これは体内に不要な熱を生じさせ、様々な不調の原因になると考えられています。漢方では食べ物の「気」を重視しますが、長期熟成させた醤油には良質な「気」が宿るとされ、「気虚」(気力不足)の改善にも効果があるとされています。

有機・無農薬で作られた醤油は漢方の「正気」を補う食材として位置づけられ、現代の添加物漬けの食品が引き起こす「邪気」を払う助けになるとも考えられています。

丸大豆から長期熟成で作られた本物の醤油を選びましょう。

有機・無農薬の原料で2〜3年発酵させた醤油は、香り高く少量で深い味わいが楽しめます。添加物頼りの短期醸造品とは質が違います。漢方医学の観点からも、長期熟成醤油は「気血」の巡りを促進し、体内バランスを整える優れた発酵食品です。

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